ある春の朝
旅先で迷い込んだ路地裏から
聞こえてきたギターの音色
沢山の蝶がどこからともなく
ひらひらと
誘われるままに着いて行くと
教えてもらった珈琲屋の前
誰もいない空間に
生き物の気配だけ
あいにく休みで
通りに戻る
ふと立ち止まった楽器屋からは
青空が聞こえてきた
目を閉じると
もうそこは
現実ではない場所だった
頭上には青空
青空が広がっていた
もう旅に出る前の場所に
戻ることはない
次の扉は
勝手に開いていたのだ
そのことを
知る由もなく
わたしは未来へと
歩き出していた
夢現の日々