シュリ日和

まいにちに生きる

こどもの頃のこと



なんとなく、こどもの頃の話がしてみたい。


小学3~4年生の頃、クラスの女子10人くらいと家族ごっこをしていたことがある。

その家族はしっかりとした設定があり、Aちゃんはパパ、Bちゃんはママ、C~Eちゃんくらいまでは横並びのお姉ちゃん、Fちゃんは妹、肝心のわたしは、長男でしゅりおと命名されていた。次男のかなお(かな)と男の子役をいいことに、やりたい放題好き放題、暴れていい役どころだった。4年生の時に転校してきた子を有無も言わせずおばあちゃん役に任命し、その遊びはクラス替えまでの間ずっと続いた。

わたしは、しゅりおが大好きだった。理由は、三人姉兄の末っ子であるわたしが、男の子、しかも長男という役割を体験できたからだと思う。わたし同様、妹役のゆうこは甘えん坊で、実際には二人姉妹の姉であった彼女は、学校では妹の特権をフル活用し、みんなに可愛がられる役を楽しんでいたように思う。お姉ちゃん役のゆっち(ゆき)は二人姉妹の妹だったから、やはりお姉ちゃんという役どころが楽しかったのかも知れない。


あれ今思うと、すごいいい遊びだったなぁー。


もちろん、10人皆が自分の配役を気に入ってたかはわからないし、付き合わされてる感があった子もいたかもしれないけど、わたしたちのように、実生活におけるの兄弟の立場と違う役割を遊びとしてでも経験できたことは、一時的にも、家族の閉塞感から解放されるきっかけになったんじゃないかな。

どうやって役どころを決めたのかは思い出せないけど、自分でこの役をやりたい!と言ったような気もする。この家族ごっこの発案者は一体誰だったんだろう。もしかしたら、この遊びを未だに覚えていて、楽しかったなぁ〜と言ってる、わたしだったのかもしれない。


クラス替え後、小学5〜6年ともなると、女子も男子も色気づいてきて、ついこないだまでやっていた家族ごっこのことなどすっかり忘れて、付き合い出す子とかが現れ始めた。わたしもしっかり周りの影響を受け、好きな子もいたし、付き合うということに憧れもした。だけどそれは表面的な意識で、本当は、心の中ではそんな変化を寂しく感じていたに違いない。''もっと子どものままでいようよ!もっとみんなで遊ぼうよ!もっと馬鹿みたいに暴れちゃおうよ!''そんな気持ちを残したまま、おとなの階段を自動的に上ることになっていったのだなぁ…と、当時を振り返り、しみじみと思う。


子ども時代にやり残したことは、後の人生に与える影響も大きいと思う。インナーチャイルドはこんな記憶の片隅に隠れていて、自分で見つけだしてやらなきゃ、忘れ去られたまま、胸の奥の森の木陰で体育座りしたまま下を向いてしくしくと、今もずっと泣いているのかも知れない。


わたしはこれから先の人生のなかで、できることなら、そんなずっと忘れていたチャイルドなままの自分を楽しませてやる生き方をしたいと思っている。あの頃のように、まだ性の区別もないような子ども同士(おとな同士)で家族ごっこがしたい。

当たり前だが、おとなの厳しさもそれなりに経験を積んできた。常識もルールも守ってきたつもりだ。だけど、どんなに真面目に世の中の規則に従っていようと、楽しさは自分から手を伸ばさない限り誰も与えてくれない。待っていても始まらないのだ。

頭のなかでは常に楽しい想像が広がっている。それを考えている時が最高にしあわせだ。今はもう、はじまる予感以外無い。


その時が来る瞬間を静かに見守りながら、明るく楽しい未来へと想いを馳せていたい。






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ともだちと河原で描いた絵