生け花の先生であるチーフは、週に一度、定休日の日曜日に店の大きな花器に季節の花を活けるのだが、今週は、スーパーマスターという百合をメインに数種類の花と葉で構成していた。
スーパーマスターは週半ばになっても花びらをひらくことがなく、もしやこのまま咲かずじまいで週末を迎えるのか？と、木曜日の昨日の時点で懸念していたのだが、今朝、鮮やかなピンク色の見事な花を開かせた。
それが、今朝のわたしの嬉しかったことだ。
勤務時間を終え、店をあとにする際、店長からマスターからわたしへの封筒を渡される。
封筒には'' コロナ禍 特別手当 お疲れ様で御座います。''と、達筆な字で書かれている。
この大変な一年、店を支えてくれたスタッフへマスターからの気持ちということだった。
わたしは今、全財産掻き集めても、学生が必死に働いて得るひと月分の給料ほどしかお金を持っていない。
よく平常心でいられるものだ、と、この状況で自分でも俄に信じ難い落ち着きぶりなのだが、どうしても、お金が全くなくなって、生きていけなくなる状況が想像できない。
これだけは、過去も今も未来も等しく想像できないのだと思う。
つまり、想像できない以上、その現実は現れない。だから、不安がない。
もちろん、その背景には、今回のように困った時には必ずどこかから救いの手が差し伸べられる経験をいくつもしてきたことが理由にある。助けてもらえることを無意識下に信じられるほどの、救いの経験値がわたしにはあるのだと思う。
有り難いとしか言いようがない。
今日は楽しみにしていたミュージックステーションの、オザケンの''強い気持ち･強い愛2020''が聴けて最高だった。
自分には青春なんかなかった、とずっと思ってたけど、オザケンは唯一のわたしの青春だったのかも知れない。これからも永遠につづく、青春なのかも知れない。
懐かしいエピソードがひとつある。
わたしが高校生の頃。
オザケンは巷で渋谷系と言われ、当時の人気歌番組''ダウンタウンのHeyHeyHey！''によく出演していた。
そして、ダウンタウンとの会話の中で『塾にも行かずに東大に入った』『家に書庫がある』などの名言を残している。王子様キャラ(そんなキャラすでに無い…)のはしりである。
そんな頃、当時の彼氏と渋谷でデートしていたある日、なんと、タイムリーでオザケンが渋谷のタワーレコードの入口横にあったラジオブースで生配信しているところに出くわしたのだ。
すでに店頭付近には人集りができており、そのままの状況じゃまったく中の様子はわからず、どーしても、オザケンをひと目見たかったわたしは、なんと、彼氏に肩車をしてもらい、オザケンを群衆の上から見下ろすことに成功した。それが功を奏し、わたしの思惑を一段超えて、ひと目見るプラス、まさかのひと目合うという奇跡を起こしたのだ。
あれは、嬉しかったなぁ〜。
まさかこの話を、時を超えて披露できる日が来るとは思わなかったが、やはり嬉しい。
来年3月には『魔法的ひとりArena』『魔法的テレポーテーション』という企画があるらしい。魔法的テレポーテーションとは！！
オザケンありがとう。
あなたの魔法は永遠です。
…嗚呼、ただただ泣ける。
あらためて、今ここに、強い気持ち･強い愛の歌詞を載せたいと思う。
**
強い気持ち･強い愛 / 1995年 小沢健二
Stand up ダンスをしたいのは誰?"…
寒い夜に遠くの街からまっすぐに空を降ってきた
ほら あっというまの蜃気楼(しんきろう)
溢れる光 公園通り 新しい神様たちが
パーッと華やぐ魔法をかける
ああ 街は深く僕らを抱く!
※強い気持ち 強い愛 心をギュッとつなぐ
幾つの悲しみも残らず捧げあう
今のこの気持ちほんとだよね
屋根を走る仔猫のように 僕は奇蹟を待っていた
夜をブラつき歩いてた
全てを開く鍵が見つかる そんな日を捜していたけど
なんて単純でバカな俺
ああ 街は深く僕らを抱く!
(※くり返し)
“Stand Up ダンスをしたいのは誰?"…
☆疼くボディーがくっついて花火になって
喜びの中へ
彼も彼女もファンキーなビート食らって
dancing in the street baby☆
(☆くり返し)
come on
空へ高く照らし出された 高層ビルのすぐ下
ほら あっというまの夜明けだよね
美しい空 響きあう空
誰も見たことのない日々を
ギューッと胸に刻みたい
ああ 街は深く僕らを抱く!
強い気持ち 強い愛 心をギュッとつなぐ
幾つの悲しみも残らず捧げあう
今のこの気持ち 強く強く強く
長い階段をのぼり 生きる日々が続く
大きく深い川 君と僕は渡る
涙がこぼれては ずっと頬を伝う
冷たく強い風 君と僕は笑う
今のこの気持ちほんとだよね
**
あの頃と何も変わらない。
今のこの気持ちはほんとだ。
今という光
