雪が降っている。
東京生まれ、東京育ちのわたしにとって、自分が暮らす町に雪が降るなんて滅多に無いことで、子どもの頃は雪を見るだけで、ただただワクワクして、雪の日は、誕生日やクリスマスよりも、もしかしたらもっとダイレクトに喜びを体感できるイベントのように感じていた気がする。子どもの頃は、と言ったものの、その気持ちはわたしの中に近年まで変わらずにあった。雪が降ると、無性にワクワクしてくるのだ。
……それなのに、どうしてだろう?今日はワクワクなんてしていない。ただ、ふわりふわりと降りしきる雪を無心でずっと眺めている。ここにいる自分じゃない自分が、無心でいたいのであろうことだけは、なんとなく伝わってくるものがある。誰にも邪魔されたくない、いつかの景色の中に生き続けている想いたちと、共にここにいる。失った時だけが知るわたしを、忘れないでいて欲しい心がある。心はずっと変わらない。ずっとずっと変わらない。だからこんなにも鮮明に今も。
わたしたちはそのことを最初からわかっていた。わかりながら変わり続けた。だって、それが生きるということだから。
年が明けて、それでもまだ動きたい気持ちになれなくて、自分をしっかり見てあげてきたけど、この雪がきっとぜんぶ。
神様からの贈り物。
この先、どんなに道に迷っても、今日の雪を信じていこう。今日の想いを信じていこう。そんな真っ白で強い今の気持ち。
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たったひとりにめぐり逢うために
生まれてきた
貴方に会うために
生まれてきました
私が私に還ったとき
貴方は私の前に現れて
優しい微笑みをくれるでしょう
神様のように
本当は
ふたりはずっと共にいたことを
その時
想い出すのでしょう
2018.7.14
雪の日に