夜桜を見に公園へ行った
四方をぐるりと桜の木が囲むように
立ち並んでいる場所で
ひとりでお酒を飲んだ
花見酒
人はパラパラとしかいない
日本酒は綺麗な味だった
ゆっくりと口に含み
喉へと流す
甘美な甘露のような露が
身体中に広がっていく
桜に心のなかで話しかける
本音で語る
黙って受けとめてくれる
存在がここにある
グラス一杯のお酒を
飲み干してから
桜の木
一本一本を
抱きしめて回った
最近浮き沈みが激しくて
誰かに抱きしめて欲しいと
思っていた
ぎゅーって強く
そんな気持ちが
桜を抱きしめたら
そっと風のなかに消えていった
誰かに抱きしめて欲しかったのか
誰かを抱きしめたかったのか
どっちもだったのか
過去生なんて知らなくてよかった
誰かから聞く必要なんてなかった
私は知っていたのだ
ほんとうは
出逢うずっと前から
すべてを
愛があったから
こんなにも苦しめた
あなたと共に
涙がね
溢れてね
止まらなくなるんだよ
私はほんとは
弱虫で
泣き虫で
強がってばかりで
優しくなんてない
甘えたくて
頼りたくて
それでも
ずるができなくて
知っててくれたこと
感謝している
夜風が柔らかく
抱きしめてくれた夜のこと
