シュリ日和

まいにちに生きる

羽化




夜桜を見に公園へ行った。

街灯の灯りが少なく、ほとんどモノクロだったけど、シルエットだけでも、まだまだ満開を少し過ぎた頃だということがわかるほど、桜は誇らしげに咲いていた。

静かな夜の公園。

ひとり黙って桜を眺めて歩いていたら、涙があふれてきた。


『どうして私は、いつまでたっても自分のために生きられないのだろう。

『どうして私は、いつまでたっても暗い檻の中に自分を閉じ込めたまま、叶わぬ夢を見続けているのだろう。』

『どうして私は、自分の本当の望みをいちばん大切にしてこなかったのだろう。』

『どうして私は・・・


終わることのないどうして、が、無限ループしている。

自分なりに、今回の人生を曲がりなりにも真面目に生きてきたつもりだ。ほんとのところは分からないけれど、先祖や家系や自身のカルマをソウルメイトと協力して解消もした。愛と喜びの人生の始まりだったはずなのに、、。何の因果か、誰の因果か、責任などないものにまで勝手に責任を感じて、前世の焼き増しを続けてきてしまった。・・・ごめんね、自分。


人間は本当にひとりでひとりなのだろうか?

ひとりでは半分としか、いつからか思えなくなった。肉体はひとつだけれど、心はいつも半分。もう半分が同じように満たされない限り、ひとりでは永遠に満たされることは無い。そんな風に感じている人は、この世界に私以外にも必ずいるはず。

自分が満ちれば、もう半分も満ちる。なんてことはない。とてもシンプルな話だ。自分が満ちてしまえばいいのだ。ただ自分に注げばいいのだ。なのに、自分は後回しで、もう半分を先に満たそうとしてしまう。男と女を理解していないからそういうことになる。私は女に不慣れなのだろうか。欲しいものを欲しい、と言えるようにと、願ってきた。解放させたい。苦しみから解放されて自由になって欲しいと、自分よりも、相手を満たすことを常に優先した。だけど、それは最初からできないことだった自分がどうしたいか?その意思でしか、人は本当の自分に出会えないのだ。結局は私のエゴだったのだろう。自由に羽ばたく姿を、本来の姿を知っているからと、そこに還るには、お互いの協力が必要だからと。

勝手な想像と思い込みなのかどうか、私にもわからない。どうしてこれほどまでに費やすことができるのか、本当にわからない。どうしても諦められないのは、私が私を諦められないことと同じなのだ。私が本来の姿に還るためには、心が半分じゃ駄目なのだ。心がひとつにならなくては。


今しか体験できないことがある。今の中にしかない真実がある。どうしても失いたくない想いがあった。どうしても消えて欲しくない想いがあった。だからこんなにもずっと。


それでも、未来の私たちが手を伸ばして囁きかけている。『恐れるな、前へ。』


私は私のために愛を生きる必要がある。ただ純粋に、愛を。







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美しく散る間際に